A spicy play | codomo

A spicy play

古今亭菊之丞という落語家がいる。高座は古典が多いようだが、どこかモダンな雰囲気がある。友人に誘われて行ったきり注目している。彼の高座は「寝床」「幇間腹」「子別れ」の3つを観たことがある。旦那芸にとても色気がある。そういうのをこの業界では“様子がいい”と言うらしい。

落語は演じる人によって、同じ話でも雰囲気がまるで違うから面白い。若手には時折、緊張が垣間見える。演じ手が緊張しているピリっとしたムードは、こちらにも伝わって来る。そうなると笑える話も笑いにくくなる。おそらく“様子がいい”人が演じる旦那だから色気があるし、余計に滑稽さも感じるのかも知れない。

滑稽さを笑えるということは、うまくいかないことを許せるということでもある。うまくばっかりいく人なんていない。失敗をどう展開すればユニークになるのか、あるいは良い方向に転がせるのか。みんなが緊張した中でユーモアをつくれる人を僕は尊敬する。来世は落語家になりたい。 2012/04/30